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児童相談所(じどうそうだんじょ)は、児童福祉法第12条に基づき、各都道府県に設けられた児童福祉の専門機関。児相とも略称される。すべての都道府県および政令指定都市(2006年4月から、中核市にも設置できるようになった)に最低1以上の児童相談所が設置されており、都道府県によってはその規模や地理的状況に応じて複数の児童相談所およびその支所を設置している。
各児童相談所には、一般の行政職員(国家公務員でいうところの事務官)に加え、精神衛生の知識のある医師、大学で心理学を学んだ児童心理司、また児童福祉司(2年以上の実務経験か、資格取得後、2年以上所員として勤務した経験が必要)などの専門職員がいる。専門職員は国家公務員でいうところの技官に相当する内容の職種であるが、自治体によっては補職が「技術吏員」ではなく、ただの「事務吏員」扱いになっている場合もある。
都道府県では土木の用地交渉や生活保護のケースワーカーなど、利害調整や相談に関係する業務に関しては伝統的に専門職員ではなく、一般の行政職員で対応することが多いことから、専門職の仕事と認識されていない場合も少なくない。このことから児童虐待などの相談に関しても専門職員の数が十分でなく、一般の行政職員で対処せざるを得ないケースが少なくないものと思われる。特に専門的な知識が必要と判断される場合には専門職員も出てくるものと思われるが、一般の行政職員の中には保健福祉とは関係のない部署から人事異動により初めて異動してくるケースも多く、専門職員の確保(行政職員で、専門教育を受けた者の確保も含む)と併せ、高度な知識、交渉能力、洞察力を要する相談業務に耐えうる人材の育成も課題となる。
未成年者は親権者の同意無しに訴訟を起こすことができないため、親権者の権限濫用による被害などの通報は児童相談所が受け付ける。しかし、未成年者の多くがこの方法を十分理解していないという問題のほか、児童相談所への通報対象は18歳までとされているため18歳以上の未成年者が親権の濫用を訴える方法がないなどの問題がある。学校での周知徹底や、18歳以上で親権者に対し訴訟を起こせる制度の整備が求められる。
また、外部から児童虐待の情報が寄せられても、FX
のような強力な権限が児童相談所には与えられていないため、自ら動くことができず、結果的に虐待を受けた子供の命が失われ、事件として報じられることが後を絶たない。
諸法令には警察との連携もうたわれてはいるが、民事不介入の警察の原則もあり、現状では児童虐待への対応は不可能に近い。
また、児童相談所の職員の業務が過重となり、緊急事態に対応できない状況も散見される。
暴行罪(ぼうこうざい)は、刑法208条に規定されている罪。刑法第27章「傷害の罪」の中に規定が置かれ、広義の傷害罪の一種である。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときに暴行罪となる。法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料。
特別法による加重類型として、暴力行為等処罰ニ関スル法律の集団的暴行罪(1条)・常習的暴行罪(1条の3)・集団的暴行請託罪(3条)、決闘罪ニ関スル件の決闘罪、火炎びんの使用等の処罰に関する法律の火炎びん使用罪などがあり、単なる暴行罪よりも重く処罰される。
暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けた有形力の行使を言う。有形力とは物理的な力のことで、典型的には殴る、蹴るなど(暴力)がこれに当たり、その範囲はかなり広い。判例によって暴行とされたものとして、毛髪を根元から切る(大判明治45年6月20日刑録18輯896頁)、着衣を引っ張る、お清めと称して食塩をふりかける(福岡高判昭和46年10月11日刑月3巻10号1311頁)、人に対して農薬を散布する(東京高判昭和34年9月30日東高刑時報10巻9号372頁)、室内で日本刀を振り回すなどがある。 しかし、つばを吐きかけるなどのように、傷害の危険が全くない有形力の行使までを暴行として捉えてよいのかどうかについては争いがあり、暴行というためには身体の生理的機能を害する程度の危険のある行為である必要があるとする学説もある。
力学的な力以外の、エネルギーによる暴行が認められるかという点でも争いがあるが、先物取引
はブラスバンド用の太鼓を室内で連打し、被害者を朦朧とさせた事件で音による暴行を認めた(最判昭和29年8月20日刑集8巻8号1277頁)。
催眠術をかける行為については、前述の生理的機能を害する程度の危険のある行為を必要とする学説からは、それは心理的作用に過ぎないため暴行とはいえないとされる。
有形力の行使が被害者の身体に現実に接触する必要があるのかどうかという点も問題となる。 例えば、人を狙って石を投げたがたまたま当たらなかった場合である。この場合、暴行罪が成立していないと考えると、暴行の未遂を処罰する規定はないので、不可罰という結論になる。 しかし、人に傷害を加える危険のある行為をしている以上、それがたまたま当たらなかったとしても暴行罪の既遂として処罰できるとするのが学説の多数説であり、そのため、身体的接触は必要ないとされている。
さらに、もともと人の身体を狙ったわけではない有形力の行使についても、判例は暴行罪の成立を認めている。そのような例として、当てるつもりはなく単に脅すつもりで日本刀を振り回したケース(最決昭和39年1月28日刑集18巻1号31頁)や、驚かすために人の数歩手前を狙って石を投げたケース(東京高判昭和25年6月10日高刑3巻2号222頁)がある。
暴行罪の「暴行」の概念は前述の通りであるが、これは「狭義の暴行」と言われる。暴行の程度は4段階あり、「最広義の暴行」は騒乱罪などの、人や物に向けられた暴行を、「広義の暴行」は公務執行妨害罪などの、人に向けられた間接的な暴行(人の身体に向けられることを要しない)を、「最狭義の暴行」は強盗罪などの、人の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行をそれぞれ意味する。
暴行の故意で暴行行為を行ったところ、過失によって傷害の結果が発生した場合(暴行致傷)には、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」という刑法208条の文言には該当しないため、暴行罪としては処罰されない。 するとこのとき、傷害の故意はないので過失傷害罪が成立するにとどまることになる。しかし、過失傷害罪の法定刑は「30万円以下の罰金又は科料」となっており、暴行を加えたが傷害結果が発生しなかった際に適用される暴行罪の「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」にくらべて軽い。 どちらも暴行の故意がある点では同じであるのに、傷害に至った場合には刑が軽く、傷害に至らなかった場合には重いという不均衡が生じることになる。
このような刑の不均衡を解消するために、判例・通説は暴行の故意で傷害の結果が生じた場合には、傷害の故意がなくても、傷害罪を適用できるとしている(最判昭和25年11月9日刑集4巻11号2239頁)。従って暴行致傷は傷害罪で処罰される。
また同様に、暴行の故意で傷害結果を発生させ、さらに人を死亡させた場合(暴行致死)には、傷害致死罪に該当することになる。
正当業務行為(刑法35条)に当たるときには違法性が阻却されるので犯罪にはならない。 暴行が正当業務行為になる典型例として、スポーツがある。一方、体罰がどの範囲で許容されるかについては議論がある。